2026/10/27
品質管理としての照度測定
普段何気なく使う照度計について考えてみる
― 品質管理・JIS・低照度測定・特記仕様書 ―
電気工事では、照明器具を取り付けて点灯しただけで終わりではありません。
施工管理には、工程管理・安全管理・品質管理・原価管理など、工事全体を管理する役割があります。
照度測定は、その中でも品質管理の一つです。
照明器具を設置したあと、設計や仕様で求められた明るさが確保されているかを、照度計を使って数値で確認します。
普段何気なく使っている照度計ですが、少し掘ってみると、実は「どの照度計でも同じ」というわけではありません。
そもそも、なぜ照度を測るのか
照明工事では、器具が点灯するだけでなく、必要な明るさが確保されているかを確認する必要があります。
照度測定では、設計や仕様に対して必要な性能を満たしているかを数値で確認し、その結果を完成時の記録として残します。
つまり、感覚的に「明るい」「暗い」と判断するのではなく、数値で確認する品質管理です。
照度計なら何でもいい?
照度計にはJIS規格があり、性能によって等級があります。
JIS C 1609-1では、一般形照度計についてA級、AA級などの区分があります。
見た目は同じ照度計でも、測定精度や人間の目の感度に対する補正、斜めから入る光への対応など、性能には違いがあります。
そのため、照度計を使うときは、その測定に必要な性能を満たしているかを確認する必要があります。
一般照明と非常用照明では、測る明るさが違う
一般的な室内照明では数百lx程度の照度を測ることがあります。
一方、非常用照明では、通常照明よりかなり低い照度域を測定します。
国土交通省や東京都の電気設備工事標準仕様書では、非常用照明の照度測定について、JIS C 7612に準拠し、低照度測定用照度計を使用する考え方が示されています。
ここで大切なのは、
「AA級なら何でも非常用照明に使える」
という単純な話ではないことです。
照度計の等級と、低い照度まで適切に測れる性能は、別々に確認する必要があります。
標準仕様書だけでなく、特記仕様書まで確認する
公共工事では、標準仕様書を確認することが基本です。
ただし、一般照明の照度測定については**「特記による」**とされている場合もあります。
そのため実際の工事では、
特記仕様書や設計図書まで確認する
ことが重要です。
測定方法、測定位置、使用する測定器など、案件ごとに条件が定められていることがあります。
「前の現場ではこうだったから今回も同じ」と決めつけず、その工事で何が求められているかを確認することが大切です。
道路照明では、照度分布図を見ることもある
照度の確認方法も、工事によってさまざまです。
道路照明では、照明器具メーカーが器具の配光特性や取付高さ、設置間隔などをもとに、照度分布図を作成することがあります。
施工後には、案件によってメーカーの協力や立会いのもとで照度測定を行うこともあります。
施工管理では、自分で照度計を使うだけでなく、メーカーの技術資料や専門知識を活用して品質を確認する場面もあります。
照度計は「持っていればいい」わけではない
もう一つ確認しておきたいのが校正です。
照度計も測定機器なので、使用や保管によって特性が変化する可能性があります。
そのため、
- 必要な性能を持った照度計か
- 測定したい照度域に対応しているか
- 校正状態に問題がないか
まで確認しておくことが大切です。
照度測定は、ちょっとしたスクワットトレーニング?
ここで少し現場の話です。
照度測定では、床面付近の照度を測定することがあります。
測定ポイントが多い現場では、
しゃがむ → 測る → 立つ → 移動する → またしゃがむ
の繰り返し。
広い施設では、これが地味に効きます。
照度測定が終わる頃には、ちょっとしたスクワットトレーニングです。
測るだけでなく、「何で測るか」まで確認する
照度測定は、施工管理における品質管理の一つです。
大切なのは、数値を取ることだけではありません。
なぜ測るのか。
どの基準で測るのか。
どの測定器を使うのか。
その測定器は適切に管理されているか。
そこまで確認して、一つの品質管理になります。
普段何気なく使っている照度計も、少し掘ってみると、JIS規格、等級、低照度測定、校正、特記仕様書など、さまざまな要素が関係しています。
「この測り方で本当にいいのか?」
と一段掘って考えることも、施工管理の経験の一つです。
